自然と季節に呼応する
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“はな”は、漢字で「花」「華」「岬」「初」「端」などと表わされますが、その原義は“気の集中する部分、現象、先端”を意味します。
“気の医学”である伝統中国医学は、老化や疲労に加え、四季の変化や感情の影響をも重視します。これらの身体にとって容赦のない厳しい変化が、気の偏りとなり、様々な症状として現れます。
当院の鍼灸治療は、“経絡”の気を補い、“五蔵”の平衡を調えることで、老いを含む自然や感情の変化に対処することを目的としています。
院長 水溜亮一
❐「鍼灸」について
鍼灸は、中国において2世紀頃までに“気”“五蔵”“経絡”“兪穴”(ツボ)といった伝統中国医学固有の術語によって構築された体系的医学であり、衰退、再構成を経て現在に至る伝統医学です。針ともぐさを用いた物理療法や温熱療法といったものではなく、すべての身体の営みや変化を“気”という言葉によって把握する“気の医学”です。
❐「気」について
私たちの体は、絶えず変化しています。一時も休むことなく呼吸をし、心臓が拍動し、血液は体中を巡っています。季節や環境の変化に呼応し、厳しい自然から身を守るために相応の変化を遂げています。
中国伝統医学では、これらの変化を“気”という言葉によって理解します。 呼吸によって気を出し入れし、食物を消化し、気血を体中に巡らせる。肌の血色が悪くなる、食事がのどを通らなくなる、眠れなくなる、下痢や便秘など排泄に異常をきたす。これらの変化は、すべて気の流れの偏りや過不足と捉えることが出来ます。
疲労の蓄積や心理的圧迫によって気が巡らなくなると、暑さや寒さなどの自然の影響を直接に受け体調を崩し、腰痛や肩こりを始めとする様々な症状を引き起こします。
中国伝統医学の治療は、気の失調をととのえることを目的とします。
❐「五蔵」について
中国伝統医学における五蔵(肝・心・脾・肺・腎)は、臓器としての肝臓や腎臓というよりも、心身の変化や運動、身体部位を分類し、五蔵のいずれかに関連する“気としての五蔵”です。
例えば肺であれば、皮膚を含む身体の表面、鼻などの呼吸に関わる生理現象は、肺の司るものであり、それらの失調は、肺の変動と判断します。
全ての生命活動が五蔵の気の司るところであり、生命活動の根源といえるものが、伝統医学における五蔵です。
ただし五蔵は、互いに有機的に関係し合うため、身体に表れた症状のみで判断できず、気が流れる経路である“経絡”を介した診察体系によって病態を把握します。
このように全ての生命活動が五蔵の気の司るところであり、生命活動の根源といえるものが、伝統医学における五蔵です。
❐「経絡」について
血管から派生したと考えられ、大地を潤す河川のように全身に五蔵の気を循環させる、流れる気の経路が“経絡”です。
心身の全ての変化は、五蔵の司る営みであり、病は五蔵の不調和の現れですが、五蔵は生命活動の根源であり、身体の最も深い部分に当たるため、見たり触れたりできるものではありません。そこで全身をめぐる経絡を介して、病態を窺い、気を補う治療を施します。
当院では、中国伝統医学において最も重要な診察法である脈診にて、経絡の変動を捉え、鍼灸によって気を補い、身体の平衡を調えることを治療方針としています。